Break Through! 第二章 挑み続ける心が未来を拓く:BIPROGYバドミントンチーム/第3回 熊谷翔・西大輝ペア

「頑張るときはいつも今」。頂点を目指して努力し続ける

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世界の頂点を目指すBIPROGYバドミントンチームの選手たちの「挑戦」と「成長」の軌跡をつづる本企画「Break Through! 第二章」。第3回に登場するのは、2024年にペアを結成した熊谷翔(くまがいかける)選手・西大輝(にしひろき)選手です。ストイックに努力を重ねる熊谷選手は23歳、明るく前向きな西選手は22歳。「クマニシペア」と呼ばれる2人の武器は、圧倒的な攻撃力です。国内外の大会で着実に実績を重ね、2025年9月の全日本社会人バドミントン選手権大会では念願の初優勝を飾りました。「今はとにかく上がっていくだけ」と勢いに乗る2人に、次なる目標と意気込みを伺いました(2025年10月取材)。

Profile

熊谷 翔(くまがい かける)
2002年1月5日生まれ。宮城県大崎市出身。実業団選手の父の影響で小学3年生からバドミントンを始める。日本大学卒。
2024年4月BIPROGY入社。2025年西大輝との男子ダブルスで全日本社会人選手権大会優勝。後衛からの圧倒的な攻撃力が武器。ダブルス日本ランキング5位(2025年12月12日時点)、ダブルスの世界ランキング33位(2025年12月9日時点)。2025年日本代表。
西 大輝(にし ひろき)
2003年3月21日生まれ。京都府京都市出身。3歳上の兄の影響で小学1年生からバドミントンを始める。龍谷大学卒。
2025年4月BIPROGY入社。2024年全日本総合選手権大会男子ダブルス第3位。混合ダブルス準優勝。前衛でのネットプレーやラケットワークの速さが強み。カオシュンマスターズ2025優勝。2025年日本代表。 

ペア結成からBIPROGY入社へ

――ペア結成の経緯を教えてください。

熊谷BIPROGYに入社して1年目の頃、自分にはダブルスのパートナーがいませんでした。年齢が近くて実力のある選手と組みたいと考えていたときに、早川監督から挙がった候補選手の中に、当時大学4年生の西がいました。高校時代から存在を知っていて、ナショナルチームでも一緒に羽根を打ったことがありましたが、当時から、「なんて器用な選手なんだろう!」と一目置いていたんです。それから西と組みたいと希望を伝えてペア結成が決まりました。

写真:熊谷翔選手
BIPROGYバドミントンチーム
熊谷翔選手

西BIPROGYから声をかけてもらったときは素直にうれしかったです。熊谷さんとならトップを目指せると思いました。

――BIPROGYに入社して、どのような印象を持ちましたか?

熊谷バドミントンチームをメインとした地域貢献イベントや社員との交流イベント、選手に向けた社会人教育の場などを設けてもらったり、国内大会では社員の方が応援に来てくださったりと、会社の皆さんがチームに寄り添ってくれていると感じますね。選手としては本当にありがたいですし、いつも感謝しています。

西大学時代には想像できなかったほど、たくさんの人に応援してもらえるようになりました。自分たちが結果を出すためにサポートしてくださる方も多く、周りの応援や支えがあって今の自分が成り立っていると感じています。

写真:西大輝選手
BIPROGYバドミントンチーム
西大輝選手

――BIPROGYバドミントンチームの雰囲気はいかがでしょうか。

熊谷年代が近い選手が多く、みんなすごく仲が良いですね。チーム内には男子ダブルスの別のペアもいて、互いにライバル意識を持って切磋琢磨しながら練習できる点も良いところです。

西チームには、世界的に見てもトップレベルの選手ばかりですごく緊張しました。練習の質も量も、それまでとは比べものにならないほど一気に上がりました。最初はついていくのが精いっぱいでしたが、先輩方が優しく接してくださり、徐々にチームにも慣れてきて、今では楽しく練習できています。

世界ランキング上位を目指して

――「クマニシペア」の強みと課題を教えてください。

熊谷自分たちの強みは、何といっても攻撃力です。ただ、攻撃力が強いだけでは勝てません。そのため、攻撃力を生かすポイントとなるサーブ周り(※1)とハーフ球(※2)への対応を常に意識して練習に取り組んでいます。ダブルスは試合展開が早く、サーブを打った瞬間から駆け引きが始まります。そこで、相手の先手を取り、いかに優位な展開に持ち込めるかが勝負のカギになります。相手のクセや傾向も踏まえて作戦を立て、プレーのパターンを2人で話し合って臨みますが、それでも相手はこちらに攻撃させないように自分と西の間を狙ってハーフ球を打ってきます。この狙いを逆に利用して仕掛け返せるような2人のコンビネーションを強化しているところです。

  • ※1サーブ周り:「サーブ」「サーブレシーブ」「3球目」までのプレー。
  • ※2ハーフ球:コートの中央付近に落ちるショット。
写真:熊谷翔選手と西大輝選手

西最近の試合では、対戦相手にアタック力を警戒されてなかなか強く打たせてもらえない展開になることも多いんです。なので、得意なプレーを封じられたときの選択肢として、プレーの幅をもっと広げていきたいです。自分たちはペアを組んでまだ1年なので、戦い方のバリエーションはまだまだ増やせるはずです。試合ごとに「(熊谷さんが)こういうプレーをしてくれたら自分はこんな動きができる」という気付きもあるので、コーチの意見を聞きながら、これからも2人で試行錯誤していきたいと思います。

成長を支える日々の積み重ね

――練習の質や内容の充実を保つために、どんな工夫をされていますか。

熊谷試合後の練習では、試合で見つかった多くの課題についてお互いに確認し合います。そして、その日の練習メニューの目的を理解し、自分たちの課題解決につなげています。

西自分はとにかく集中力を切らさないようにすることです。以前は周りの人に注意されてしまうことがあったので「今は特に“集中”」と意識するようにしています。意識しなくても集中できるのが理想ですね。

写真:熊谷翔選手と西大輝選手

――日々の原動力・モチベーションの源になっているものは何でしょうか?

熊谷試合で結果を残して、上のグレードの大会に出て、新しい挑戦をする。こうして一歩ずつ成長できていることがモチベーションにつながっています。大きな大会の後は世界ランキングの順位にも反映されるので、それを確認するのも楽しみですね。

西シンプルに、「バドミントンが好きだ」という気持ちを大切にして毎日の練習に取り組んでいます。社会人になって、世界で勝つためのダブルスの指導を受けるようになり、普段の練習でも「こんなやり方があるんだ」と新しい気付きが多くあります。一歩ずつ前に進んでいる実感が持てるこの環境では、モチベーションが下がることはありません。試合が近づけば、自然と練習にも熱が入ります。

――試合に向けてコンディションを整える際、工夫されていることなどはありますか。

熊谷海外での試合も多く、連戦になると強度の高いウエイトトレーニングを入れることができず、筋力が落ちてしまうので、出発前は重量を重めに設定してしっかり追い込んでいます。現地に着いてからは、体重が減らないように食事やプロテインを意識的に摂取して、コンディションを整えます。試合前日は対戦相手の動画を見て、相手のプレー傾向をチェックすることが多いですね。

西普段通りの練習をして、いつも通りの生活を送って試合に向かいます。試合では緊張するタイプなので、試合前は変に気を張ることなく、なるべく自然体で当日を迎えるようにしています。

写真:熊谷翔選手

――ご自身の中で、自分を奮い立たせるような大切にしている言葉はありますか。

熊谷「頑張るときはいつも今」、です。バドミントンを始めたばかりの頃に親にかけてもらった言葉で、「今日やるべきことを頑張って、次の日を迎えよう」という意識がとても強くなりました。今でもその日にウエイトトレーニングをすると決めたら、練習がどんなにきつかったとしても絶対にトレーニングをして、その日を後悔なく終えられるようにしています。

西自分は「努力」ですね。実は、これまで心が折れそうになることは何度もありました。でも、めちゃくちゃ負けず嫌いなので「他の人より強くなろう」という思いで、コツコツ努力をし続けてきました。その結果、熊谷さんというパートナーに出会えて、大きな舞台にも立つことができました。今後も、一歩ずつ目標に向かって努力し続けたいと思います。

写真:西大輝選手

勝ちにこだわって団体戦の優勝に貢献したい

――団体戦の「バドミントンS/Jリーグ2025」も始まりましたが、抱負を教えてください。

熊谷2024年のバドミントンS/Jリーグは準優勝でしたし、2025年の6月の団体戦、全日本実業団バドミントン選手権大会は3位という悔しい結果に終わったので、チーム全員が「今回こそは」という気持ちが強いです。チーム一丸となって優勝を目指して頑張ります。

西昨シーズンはBIPROGYの内定選手として、熊谷さんと決勝戦に出場しましたが、自分たちが負けたこともあって準優勝に終わりました。あのときの悔しさを忘れずに、1つ1つの勝ちにこだわって戦っていけば、自然と良い結果につながると信じています。

――今後の目標を教えてください。

熊谷目標としては、男子ダブルスの世界ランキング上位に入ること、そして全日本総合バドミントン選手権大会での優勝です。今後は、今までよりもグレードの高い国際大会にも出場しますので、挑戦する気持ちを強く持って、結果につなげていきたいと思います。

西大会のグレードが上がれば、1つ勝つのも本当に大変です。でも、今はとにかく上がっていくだけ。どんなに苦しい状況になってもくじけず、自分たちらしくパワフルに戦い抜いていきたいと思います。

写真:熊谷翔選手と西大輝選手

――最後に、応援してくださるファンの皆さまへのメッセージをお願いします。

熊谷いつもたくさんの応援ありがとうございます。コートに立ったときに声援が聞こえるとテンションが上がって、思いきり試合に臨むことができます。常にトップを目指して頑張っていきますので、「クマニシ」の応援をこれからもよろしくお願いします!

西応援くださっている皆さんの期待に応えられるよう、これからも自分らしく頑張っていきたいと思います。試合を観戦する際は、自分たちのスピードや展開に注目して見てもらえるとうれしいです!

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