日常に溶け込むヘルスケア――「カラダ測定ポッド」から広がる都市型ウェルビーイング

三井不動産×BIPROGY|新たなヘルスケア体験で「行きたくなるオフィス」の価値を高める

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大阪・関西万博の「大阪ヘルスケアパビリオン」で話題を集めた「カラダ測定ポッド」。約8分で約50項目の健康情報を測定・可視化するこの体験を、万博閉幕後にJR西日本、博報堂、BIPROGYによるPHRコネクト共同企業体が「DotHealth カラダ測定サービス」として事業展開している。2025年11月以降、JR大阪駅やJR天王寺駅などに設置され、2026年5月には三井不動産の東京・日本橋のオフィスビルにも導入された。今回は、三井不動産の浅井俊一郎氏、岩屋佑未奈氏をゲストに迎え、BIPROGYの三宅裕昭、馬場柚里が、カラダ測定ポッドがもたらす新たな体験価値と都市型ウェルビーイングの未来について語り合った。

日常にヘルスケアを浸透させるインターフェース

――三井不動産のウェルビーイングに関する取り組みについてお聞かせください。

岩屋近年、多くの企業で健康経営や人的資本への関心が高まっています。当社のオフィスビルへ入居するテナント企業においても、「従業員の健康や働きやすさをどう支援するか」を重視するケースが増えているように感じます。こうした背景を受け、当社でもオフィスワーカーのウェルビーイング向上に向けたさまざまな取り組みを進めています。例えば、三井のオフィスワーカー向け会員サービス「&BIZ(アンドビズ)」や健康経営支援サービス「&well(アンドウェル)」を展開し、ウォーキングイベントやスポーツ大会、D&Iやウェルビーイングに関するセミナーなどを実施しています。

写真: 岩屋佑未奈氏
三井不動産株式会社 ビルディング本部 法人営業統括三部
法人営業グループ 岩屋佑未奈氏

――BIPROGYもヘルスケア領域に注力されています。BIPROGYが掲げる「日常に溶け込んだヘルスケア」とは、どのような考え方でしょうか。

馬場当社はIT企業ですが、新規事業としてヘルスケア領域に取り組む中で、「日常の中にヘルスケアが溶け込んだミライ社会の実現」というパーパスを掲げました。健康づくりを、健康診断や運動などのために特別な時間を設ける“非日常”ではなく、通勤や買い物のついでといった日常の動線の中で無理なく続けられるようにする。私たちは、そうした仕掛けこそが社会全体のヘルスケアを後押しすると考えています。その実現に向けた取り組みとして展開しているのが、DotHealth カラダ測定サービスです。

――DotHealth カラダ測定サービスの概要を教えてください。

馬場利用者は駅やオフィスビルに設置されたカラダ測定ポッドと呼ばれる個室型ブースに入り、約8分で心血管、髪、肌、歯、脳、筋骨格の6分野・約50項目の健康情報を測定できます。脈拍や肌の油分などの詳細な項目を測定し、結果は「カラダ測定年齢」として可視化されます。

写真: 馬場柚里
BIPROGY株式会社 事業開発本部 事業推進三部
ヘルスケア推進プロジェクト リーダー 馬場柚里

三宅1つ1つのセンサーやアルゴリズム自体は既存の技術ですが、ポイントは、それらを1か所で測定できるようにしたことです。例えば、肌や歯、脳の状態を別々に測定しようとすると、時間も手間もかかり、継続的に利用することは簡単ではありません。だからこそ、世の中に既にある複数のセンシング技術を1つのポッドに集約し、体験としてまとめて測定できるようにしました。私たちは、この取り組みを「ヘルスケアのインターフェース革命」と呼べるものにしたいと考えています。

スマートフォンや生成AIも、関連技術自体は以前からありました。それがタッチパネルやチャット形式のような誰もが直感的に操作できるインターフェースの登場によって、一気に普及したわけです。ヘルスケアも同じで、重要なのは技術だけではなく、「体験としてどう届けるか」だと思っています。カラダ測定ポッドというインターフェースを通じて、ヘルスケアをもっと日常に浸透させていきたいです。

写真: 三宅裕昭
BIPROGY株式会社 事業開発本部
事業推進三部長 三宅裕昭

「健康状態を共有して楽しむ」新しい文化

――2025年11月からJR大阪駅やJR天王寺駅などでサービスを開始しました。反応はいかがでしたか。

馬場反響は非常に大きく、サービス提供開始時は無償提供だったこともあり、2~3時間待ちの行列ができるほどでした。サービスを有償提供に切り替えた2026年1月末頃からは行列こそ落ち着きましたが、利用者層に変化が見られるようになりました。開始当初は万博ファンの40~60代女性が中心でしたが、現在は健康への関心が高い男性や20代の利用者も増えています。若い世代はカップルや友人同士で結果を見せ合いながら盛り上がるなど、エンターテインメント感覚で利用される方も多い印象です。

三宅一般的に医療機関で受ける健康診断の結果を人と見せ合うことはありませんが、カラダ測定ポッドの場合は、結果そのものを誰かに「共有したくなる」。そこが大きな違いだと思っています。「肌年齢が若かった」「カラダ測定年齢が思っていたより高かった」といった結果をきっかけに話が弾み、コミュニケーションが生まれる。良い結果も悪い結果も、楽しみながら共有できるんです。こうした反応は、万博の頃から見られていたもので、当時から新しい文化の1つになり得る可能性を感じていました。

写真: DotHealth カラダ測定アプリ 診断結果画面
写真: DotHealth カラダ測定アプリ 診断結果画面
肌年齢や血管年齢、体内年齢など、約8分で約50項目の健康情報を測定できる

働く場所で、気軽に健康と向き合う

――三井不動産がカラダ測定ポッドの導入を決めた背景を聞かせてください。

浅井私たちは「行きたくなる街にある、行きたくなるオフィス」の創出を目指して、産業創造や人的資本経営の取り組みに資するさまざまな取り組みを通じて、空間そのものだけでなく、そこで得られる体験価値も含めた街づくりを進めています。その観点から、カラダ測定ポッドは、オフィスワーカーが日常の中で自然に健康と向き合えるサービスとして、非常に親和性が高いと感じ、BIPROGYさまをはじめとするPHRコネクト共同企業体とのご縁をいただき、今回、当社の拠点でもある日本橋エリアで導入させていただくこととなりました。

写真: 浅井俊一郎氏
三井不動産株式会社 ビルディング本部 法人営業統括三部
法人営業グループ 主事 浅井俊一郎氏

――オフィスビルに導入されることで、どのような価値が生まれるのでしょうか。

岩屋髪や肌など、健康診断では測定しない項目にも関心を持っていただく機会となりますし、何よりそれらを働く場所の近くで気軽に測定できることが、大きな価値だと思います。日々のコンディション管理のきっかけになるのではないかと思いますし、結果としてオフィスワーカーの生産性向上にもつながっていくことを期待しています。

浅井テナント企業にとっても、例えば医療や健康食品などカラダ測定ポッドと親和性がありそうな業種・業態で、新たなコミュニケーションやコラボレーションにつながる可能性があるのではないかと考えています。3月にDotHealth OSAKA(JR大阪駅構内のカラダ測定ポッド設置施設)を拝見した際には、カラダ測定ポッドの隣に製薬会社の製品を紹介する展示が行われていました。測定をきっかけに健康への関心が高まったタイミングで、自分に合った商品やサービスと出合える。そうした体験は、企業にとっても自社の商品やサービスを知っていただく機会になると思います。

共創で広がる都市型ウェルビーイング

――今回の取り組みを通じて、どのような可能性を感じていますか。

浅井私たちは不動産デベロッパーの枠を超えた「産業デベロッパー」という「プラットフォーマー」として、さまざまな企業やサービスを後押しする存在でありたいと考えています。今回もBIPROGYさまとの共創があってこそ実現できた取り組みであり、1社だけでは生み出せない価値があることを改めて実感しました。カラダ測定ポッドのような試みが広がることで、これまでにないサービスや体験が生まれていく可能性を感じています。

三宅私たちはヘルスケアを日常に溶け込ませるために、多様な生活者と接点を持つパートナーとご一緒したいと思っています。三井不動産さまは、オフィスビルやショッピングモール、スマートシティなど、幅広い生活空間を手がけられており、まさに理想的なパートナーです。こうした接点を通じて、利用者とその先にある多様な企業やサービスをつないでいきたいと考えています。

――今後、都市型ウェルビーイングはどのように広がっていくとお考えですか。また、その中でカラダ測定ポッドはどのような役割を果たしていくのでしょうか。

浅井カラダ測定ポッドでの測定を起点に、オフィスワーカーが日常の動線の中で健康状態を振り返り、意識変容や行動変容につながる。そうした体験をより手軽に、より高い頻度で提供できるようになっていくと思います。オフィスにとどまらず、街のさまざまな人々にとっても健康と向き合う機会が広がっていけば、都市型ウェルビーイングが社会に根付いていくのではないでしょうか。

三宅「このビルで働くと健康になる」と感じられるくらい、ヘルスケアが自然な体験であることが重要だと思っています。健康診断のような特別な機会ではなく、日常の中で気軽に測定し今の自分を知る、その先に魅力的な商品やサービスがある。こうしたヘルスケア体験を、オフィスビルをはじめ、街の中に組み込んでいきたいです。

現在は万博で使用したカラダ測定ポッドをベースに、より小型・軽量で導入しやすいモデルの検討を進めています。今後は、カラダ測定ポッドを全国の日常動線へ広げ、数年後には人々の暮らしの中で当たり前の風景になることを目指したいと考えています。

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