初心者必読の本から上級者向けの本、「座右の書」などを推薦者のコメントとともにご紹介するコーナー。第3回のテーマは、「働き方改革」です。価値ある一冊に巡り合う一助となれば幸いです。
今回の推薦者
日本ユニシス株式会社
執行役員
人事部、組織開発部 担当
白井久美子
最高の組織
全員の才能を極大化する
全社員が自主経営の意識をもち、全体でお互いの考え方や強みを共有し合い、会社の存在目的、将来を考えながら働ける「進化型組織(ティール組織)」。本書は、その在り方・創り方に関するポイントについて筆者の体験に基づいて分かりやすく解説している。進化型(ティール)組織は、マズローの5段階要求の最上位にある自己実現の要求に根差しているという。その要諦について著者は「支配やエゴから切り離し、人生の豊かさを信頼する」「成功や出世はもはやメンバーの目標ではなく、使命を追求することにフォーカスする」「一人ひとりが輝き、彩りあふれる世界に生き、幸せを追求する場として会社は存在せねばならない」「会社のメンバーがいきいきと楽しく仕事ができる状態は質が高く熱量のあるサービスを創れる」「働く人を主人公にした組織が顧客や株主に満足がいく質の高いサービス提供を実現できる真の組織の姿である」と語る。自律型の組織運営に興味があるマネジメントの方にお勧めしたい一冊である。
[著]大賀康史
[出版社]自由国民社
[発行年月]2019年3月
10年後の働き方
「こんな仕事、聞いたことない!」からイノベーションの予兆をつかむ
イノベーションの予兆を感じながら、10年後に存在するであろう新しいビジネスの中で生まれる仕事や働き方について、ワクワク想像しながら読める一冊である。例えば、人口増加に伴う食料危機への対応(培養肉をつくる細胞農業)、アパレル業界で注目されているバイオファブリケーション(バイオテクノロジーを用いて、植物、昆虫、動物由来の繊維や皮革を生産する技術)、3Dプリンターで出力した義肢(義手や義足)を操るウェアラブル技術、省エネ・創エネの仕組みを取り入れて自分たちで使うエネルギーを自分たちでつくるスマートグリッド・スマートコミュニティなど、さまざまな分野におけるイノベーションや、スタートアップによる果敢な挑戦が紹介されている。持続可能な社会の継続をテーマの軸として、これまで想像もつかなかった未来の仕事について、テクノロジーの最新動向の理解を進めながら読むことができる。未来の仕事について考え、夢を膨らませたい方にぜひお勧めしたい。
[著]未来予報株式会社、曽我浩太郎、宮川麻衣子
[出版社]インプレス
[発行年月]2017年7月
佐藤優直伝! 最強の働き方
長時間労働、同一労働同一賃金、非正規雇用、階級社会、少子高齢化、老後資金2000万円問題など、日本社会における働き方にはさまざまな課題が潜んでいる。年代を問わず直面する過酷な「労働」について、悲観するのではなく解決の方策を見いだす知恵を授け、「働く」ことの根底に流れる真理を解き明してくれる一冊である。「働きすぎてはいけない」「仕事の目的は休むこと」「人間の価値はお金より命のほうが上であること」「働いて稼いで生きているということは見えなくても誰かの役に立っていること」など、興味深い切り口で、働き方についてあらためて見つめ直す視点をもたらしてくれる。人間が働くことに喜びや楽しさを感じる瞬間とは、どういうときなのか。もしも、働くことに疲れてしまった人がいたとしたら、それはなぜなのか――。働くことの意味に迷ってしまったとき、組織で働くことがつらいと感じることがあるならば、この書を読むことで、何か新しい考えが見つかるかもしれない。
[著]佐藤優
[出版社]自由国民社
[発行年月]2019年8月