「新・ダイバーシティ経営企業100選」と「準なでしこ」に選定

ダイバーシティ経営を実践し、好業績を上げていることに評価

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2019年3月、日本ユニシスは、経済産業省と東京証券取引所が選定する「新・ダイバーシティ経営企業100選」と「平成30年度準なでしこ銘柄」に選定された。システムインテグレータから“社会課題を解決する企業”への変革を目標に掲げ、意思決定に多様な視点を取り入れるため取締役2人、監査役1人、執行役員1人に女性を選任し、好業績を上げていることなどが評価された。これまでも風土改革に向けた取り組みに注力してきたが、今後もビジネスエコシステム創出企業として新サービス創出に向けたチャレンジを加速する。

ダイバーシティ経営は企業の成長力のモノサシに

「新・ダイバーシティ経営企業100選」は、多様な人材の能力を生かすダイバーシティの推進を経営成果に結び付けている企業を表彰するもので、経済産業省と東京証券取引所との共催によって行われている。昨年度からは2017年3月にまとめられた「ダイバーシティ2.0 行動ガイドライン」に基づいて選考されている。

「ダイバーシティ2.0 行動ガイドライン」は、ダイバーシティ経営を実践するための7つのアクションを提示している。「経営戦略への組み込み」「推進体制の構築」「ガバナンスの改革」「全社的な環境・ルールの整備」「管理職の行動・意識改革」「従業員の行動・意識改革」「労働市場・資本市場への情報開示と対話」である。

経済産業省
大臣官房審議官 経済社会政策担当
新居泰人 氏

表彰のポイントは、ダイバーシティ経営を中長期的な視点から企業価値の向上に結び付けているかどうかだ。表彰式の冒頭で主催者を代表して挨拶した経済産業省大臣官房審議官の新居泰人氏は「ダイバーシティ経営は、欧米企業をキャッチアップするだけでなく、前を向いたイノベーションを起こすためのもの」とその意義を語った。

女性や外国人、高齢者、障がい者といった多様な人材の能力を最大限引き出すことが、少子高齢化や人材不足に悩まされる日本社会の課題解決につながるだけでなく、急速に変化し続ける経営環境に対応し、新たな価値を創造する原動力にもなると考えられている。ダイバーシティは企業の成長力を測る新たなモノサシであり、投資家からも注目されている。日本ユニシスでは、グローバルな視点を取り入れるために、外国籍の経営アドバイザーも迎え入れている。

変革のための環境整備とリーダーシッププログラム

業務において個人の創造性を発揮する時間を確保するために取り組んでいるのが、自由な働き方を促すテレワークと、残業ゼロ(5時間以下)の月を年1回以上達成する「残業メリハリ活動」だ。「残業メリハリ活動」では勤怠時間を可視化し、組織ごとの達成状況をイントラネットで公開するなど、自発的な業務プロセス改善を促す仕組みを用意している。

また、個々の従業員の意識を改革し、行動変容を促すために取り組んでいるのが、「変革リーダーシッププログラム」だ。始業前の時間を活用して役員と新事業のアイデア探しや対話を行う「Morning Challenge」、ビジネスの構想や自己研鑽(けんさん)など担当業務以外に毎週1日3時間を使う「T3(Time-to Think)活動」など、数々のプログラムが提供されている。2018年12月時点で、「変革リーダーシッププログラム」を受講した社員は累計約1800人に上り、プログラム前後で意識調査の結果の数値などが変化した約400人を「変革リーダー」に認定した。

こうした風土改革によって、2017年度は生産性が3割以上向上し、平均残業時間の削減、年次有給休暇取得率の増加につながり、3期連続の過去最高益を実現。何よりも新事業領域の売り上げの大幅向上という成果を上げ、その実績も評価された。

平成30年度の「新・ダイバーシティ経営企業100選」への応募総数は105社に上り、日本ユニシスほか23社が選定・表彰された。

ダイバーシティを推進し予測不能な変化に対応する

一方、平成30年度の「なでしこ銘柄」には42社、「準なでしこ」には22社が選定された。「なでしこ銘柄」には、女性の活躍を推進し、それを中長期の企業価値向上に結び付けている企業が選定される。こうした企業は持続的な成長が望めることから、投資家にとって魅力ある銘柄であることも背景にある。

選定基準となるのが、「ダイバーシティ2.0 行動ガイドライン」と、それにのっとって実施される「女性活躍度調査」の結果だ。平成30年度「女性活躍度調査」には、上場企業の14.5%にあたる522社が回答した。

経済産業省
経済産業政策局 経済社会政策室
室長 小田文子 氏

2018年6月の「ダイバーシティ2.0 行動ガイドライン」の改訂では、構成員のジェンダーや国際性の面を含めて多様性を確保し、ダイバーシティ経営のための取締役会の監査機能を強化することが盛り込まれた。これを受けて今年度からは「女性取締役が1人以上いること」が、なでしこ銘柄のスクリーニング要件に挙げられている。

授賞式で女性活躍度調査を総括した経済産業省経済産業政策局経済社会政策室長の小田文子氏は「今回の調査結果では、直近の女性役員の割合は4.1%と、諸外国と比べるとまだまだ低い。労働人口としての女性比率は増えているのに、トップ層の女性が少ないのは今後の課題です」と指摘した。

こうした中で、女性管理職比率を2020年までに10%にすることを目標に掲げる日本ユニシスは、7つの項目すべてでガイドラインに基づく取り組みを行い、取締役2人と監査役1人が女性であることが評価され、「準なでしこ」に選定された。

経済産業省
副大臣
磯﨑仁彦 氏

認定証授与式に登壇した経済産業省副大臣の磯﨑仁彦氏は「予測不能な変化にどう対応していくのか。その解の一つが、ダイバーシティ経営です。それを実証した企業の先進的な取り組みや成果を広く発信することが重要です」と語る。日本ユニシスにもその役割が期待されている。