次世代カーシェアリングサービスが紡ぎ出すモビリティの未来

「NISSAN e-シェアモビ」を支えるIT基盤を構築

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日産自動車と日産カーレンタルソリューションが共同運営する次世代カーシェアリングサービス「NISSAN e-シェアモビ」が2018年1月15日から始まった。新しいカスタマータッチポイントとして、『ニッサンインテリジェントモビリティ』のコンセプトに基づいた従来にないリアル体験をお客さまに提供していくものだ。この全体システムを支えているのが、日本ユニシスのモビリティサービスプラットフォーム「smart oasis for Carsharing」である。

「安心・気軽・快適」をキーワードとする付加価値を提供

「NISSAN e-シェアモビ」の乗車ステーション

「NISSAN e-シェアモビ」は、15分単位の料金で手軽にクルマを利用できるカーシェアリングサービスだ。長時間の利用に向けては6時間、12時間、24時間、各種ナイトパックなどのパックプランも用意されている。

日産自動車株式会社
日本戦略企画本部 中期戦略企画部
主担(New mobility推進チーム)
高橋雅典氏

ただ、単なる便利さだけがNISSAN e-シェアモビの魅力ではない。日産自動車 日本戦略企画本部 中期戦略企画部 主担(New mobility推進チーム)の高橋雅典氏は、「カーシェアリングサービス自体はすでに他社からも提供されており、市場も利用者も広がりを見せています。そうした中でどうやって“日産らしさ”を打ち出していくか――。『NISSAN INTELLIGENT MOBILITY』のコンセプトに基づいた体験を提供していく、新しいカスタマータッチポイントとしてNISSAN e-シェアモビを位置づけています」と語る。

例えば、NISSAN e-シェアモビでどんなクルマを利用できるのかというと、“100%EV(電気自動車)”として世界中に名をはせる「日産リーフ」と、“エンジンで発電して、モーターだけで走る”を特長とする「ノート e-POWER」の2つの車種が用意されている。『EVに興味はあるが、まだ乗ったことがない』という方は少なくありません。そんなお客さまにも最新型のEVを体験していただけます」(高橋氏)

リアウインドウに設置されたカードリーダーに
運転免許証をかざすとドアが解錠される

加えて、これまでのカーシェアリングサービスにない特長として打ち出しているのが、「安心・気軽・快適」をキーワードとする付加価値である。

「安心」については、駐車時のステアリング、アクセル、ブレーキなどの操作を自動制御する「プロパイロットパーキング」(リーフ)、上空から見下ろしているような映像でスムーズな駐車をサポートする「インテリジェントアラウンドビューモニター」(リーフ、ノート)などの機能を搭載。「普段あまりクルマに乗らず、運転に自信がないお客さまでも不安なくご利用いただけます」と高橋氏は語る。また万一の事故に備えて、ドライブレコーダーも全車に搭載している。

「気軽」については、月額料金を無料とすることで、サービスの利用頻度に関係なく入会しやすい会員制度を整えた。

さらに「快適」については、運転免許証がそのまま会員証となるため、カード忘れなど利用時の煩わしさを感じなくて済む。車両の清掃も毎日実施されており、利用者は常に清潔な室内空間で快適に運転できる。オペレーターによるナビサポートなど、ドライブをサポートするサービスも充実させた。

モビリティのサービス化(MaaS)を体現する基盤

NISSAN e-シェアモビの全体システムを支える基盤として用いられているのが、日本ユニシスのモビリティサービスプラットフォーム「smart oasis for Carsharing」だ。

「日産はEVに関して世界でも最先端の技術を持っています。しかし、カーシェアリングという形でEVを展開しようとしたとき、どんなスキームの下で利用者とクルマ、そして各サービスを結び付けたらよいのか、ビジネス面のノウハウがありませんでした。また、お客さまのさまざまな個人情報を預かるだけに、厳重なセキュリティレベルを担保しなければなりません。これらの課題に対応可能な実績あるソリューションとして目に留まったのが、日本ユニシスのsmart oasis for Carsharingでした」(高橋氏)

日本ユニシス株式会社
公共第一事業部 エネルギー統括部
次世代ビジネス部
第二グループマネージャー
鈴木康史

具体的にsmart oasis for Carsharingとはいかなるプラットフォームなのか。日本ユニシス 公共第一事業部 エネルギー統括部 次世代ビジネス部 第二グループマネージャーの鈴木康史は次のように説明する。

「本プラットフォームはクラウドベースでシステム機能を提供し、カーシェアリングをはじめとするモビリティサービスの事業運営に必要な会員管理や運行管理、課金決済などを実現します。いわばモビリティのサービス化(MaaS)を体現する基盤です」

日本ユニシスでは2009年より他社に先駆け、EVおよびプラグインハイブリッド車(PHV)を対象とした充電インフラシステムサービス「smart oasis for charging」を展開。クルマの「所有から利用」への動きを捉え、サービスの拡張を図ってきた。そうした中で環境省「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の採択を受け、EVを利用したカーシェアリングサービスのためのシステム構築に取り組み、2014年2月より東京ベイエリアなどにおいて実証実験を行ってきた。そこから得られた技術やノウハウを実用システムとして発展させ、体系化したのがsmart oasis for Carsharingなのである。

「smart oasis for Carsharing」概要図

日本ユニシス株式会社
公共第一事業部 次世代ビジネス部
第二グループ
久保達寛

日本ユニシス 公共第一事業部 次世代ビジネス部 第二グループの久保達寛は、「EVという共通項において、クルマからモビリティサービスを指向していた日産自動車さまと、社会インフラからモビリティサービスを指向していた日本ユニシス。新しい時代の流れの中で両者の思いが合致し、今回の協業に至りました」と語る。

「自動運転技術の進化を見据えつつ、EVの車内空間や移動時間をより快適な環境に変えていく意味からも、デジタルを活用したかつてないサービスを日本ユニシス、そしてお客さまと共に創造していきたいと考えています」と高橋氏も今後に向けた構想を示す。

NISSAN e-シェアモビは、2018年1月時点でまず16のステーションからスタートしたが、今後順次拡大を図っていく計画だ。そうした中から紡ぎ出されるモビリティの未来に、今後ますます大きな期待が高まっていくことだろう。

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