かんたん、楽しい家づくり。家もスマホで買う時代

VRで理想の家の新しい買い方を提案――株式会社土屋ホーム 様

画像:TOP画像

共働き世帯の増加で、住宅展示場へ足を運ぶ時間や打ち合わせにかかる時間が十分に取れない人が増えている。さらに、家は「購入する」から「購入後の生活を購入する」ものに変わりつつある。こうした変化を捉え、日本ユニシスはバーチャル住宅展示場サービス「MY HOME MARKET™️」を開始。北海道を拠点に注文住宅の設計・施工を手掛ける土屋ホームは早速この仕組みを活用し、1カ月で4件もの成約を獲得した。

営業スタッフの負担が減って顧客満足度も上昇

住みたい家が目の前に現れた。中に入ると夢にまで見た、おしゃれなリビングがあり、その先にはピカピカのキッチンも見える。しかし、このキッチンはもっとぜいたくにオールステンレスに変えたい――あたかも住宅展示場のモデルルームにいるような体験が、いつものスマホで体験できる。それが日本ユニシスの提供する「MY HOME MARKET™」だ。

株式会社土屋ホーム
取締役
リズナス事業部
千田侑也氏

札幌に本社を置く住宅メーカー、株式会社土屋ホームは今年5月からMY HOME MARKET™を活用したVR(バーチャルリアリティ)モデルハウスで自社の住宅商品「LIZNAS(リズナス)」シリーズの販売を開始した。リズナス事業部を担当する取締役の千田侑也氏は「始めてすぐに営業のスタイルが変わっていくことを実感しました。3年後にはVRを使った住宅販売がメインになっているはずです」とそのインパクトの大きさを語る。

同社では、VRモデルハウスでの販売を開始後、わずか1カ月で12件の問い合わせがあり、4件が成約するという驚くべき成果を上げた。現在5件も商談中で離脱は3件のみ。しかし、同社が得た成果は成約件数だけではない。最も大きな成果は営業スタイルが変わり、営業スタッフの負担が大きく減ると同時に顧客の満足度も大きく向上したことだ。

「スマホで事前に細かなところまで確認してから問い合わせをするお客さまも多く、期待と現実のギャップもありません。後はお金と土地の手配をするだけ。メールで問い合わせいただいた際には、若手社員が対応しても商談が成立してしまいました。売れる仕組みをつくることができたと思いましたね」と千田氏は語る。

購入までの流れ

イメージアップ、認知度アップで他商品への相乗効果も狙う

同社はスキージャンプの“レジェンド”として知られる葛西紀明氏が所属することでも有名だ。千田氏自身もスキージャンプの出身であり、スキー部部長を兼務している。千田氏はタレントのりゅうちぇる氏と葛西氏が出演するCMを制作し、駅貼りポスターや中づりポスター、テレビなどで露出させる戦略で販促手法を意識した。また千田氏がパーソナリティーを務めるラジオ番組でも新たなトレンドとして取り上げた。

葛西紀明氏とりゅうちぇる氏が出演する広告(画像提供:土屋ホーム様)

「スマホで家を売ろうとしていることで当社に関心を持ってもらい、VRの美しい映像から、おしゃれな会社というイメージを印象づけることができれば成功だと思っていました。あくまでIN戦略として位置づけてキャンペーンを開始したのです」(千田氏)

だが、初めからこう考えていたわけではない。「生活提案をしているリズナス事業部ならマッチするだろう」と同社のトップからMY HOME MARKET™を紹介された千田氏は、当初は及び腰だった。IN戦略のツールとしての魅力は感じたものの、日々の営業活動が忙しく、現場に落とし込むのは無理だと考えたからだ。

「ただ、認知度アップとの抱き合わせであればやる意味はあるのではと考えました。そこで、プロモーション予算をつけてもらうことを提案して承認してもらいました。リズナスとしてのイメージアップにもなり、VRで2棟販売に結び付けば元が取れるというイメージです」と、2018年1月にプロジェクト開始を決断したときの想いを振り返る。

MY HOME MARKET™️の仕様に合った素材を用意するのは手間がかかったが、メンバー3人で通常業務をこなしながら時間を捻出した。月1回の打ち合わせで構築を進めていき、小まめに細部を確認しながら5月1日のスタートにこぎ着けた。開発期間3カ月という突貫工事だった。

リアルな映像だからこそ具体的な商談につながる

幅広い層からの反応があるが、「予想以上にうまくいっている要因の1つは、MY HOME MARKET™の映像の美しさです」(千田氏)。実写と見間違えるほど高い精度の映像だからこそ、住宅販売で避けなければならない、期待と現実とのギャップを埋めることができる。これがその後の商談の進み具合や成約にも大きく影響してくる。

今回の成果を踏まえて、同社では青森県でも同様のキャンペーンを展開していくという。「VRは横展開できるのも大きな魅力です。商品の仕様変更は多少ありますが、基本は同じプランを用意して反応を見ていく予定です。うまくいけば当社の商圏を広げることもできます。今年から来年にかけて、受注全体の3割をMY HOME MARKET™で上げていきたい」と千田氏は抱負を語る。

MY HOME MARKET™のようなバーチャル住宅展示場は、時間や空間を超えて訪問できるため気軽にプランを検討できるというメリットがある。消費者とハウスメーカー双方の負担を軽減できることも明らかになり、新たな社会インフラとして今後さらに進化していくことが期待される。

関連リンク