川畠成道さんチャリティコンサートを共に支えたパートナーの素顔

障がいのある人たちと共に、暮らしやすい社会の実現を目指して

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2018年8月16日、毎年の恒例となった川畠成道さんのチャリティコンサートが開催されました。日本ユニシスグループは、このチャリティコンサートを通じて、江東区の方々と共に、より豊かな社会をつくっていきたいと考えています。
チャリティコンサートでは、アイマスクをかけ一流の演奏を楽しむプログラムや、障がいのある方々をサポートする団体によるチャリティ販売会などが行われ、さまざまな体験を通じて、多様性を受容する社会づくりの大切さに気づくきっかけとなる場を提供しています。当日の運営は、日本ユニシスグループ社員および江東区社会貢献ネットワーク(こらぼら)のボランティアが協力して行いました。
今回初めてブース展示に参加した一般社団法人 江東ウィズの田中祐子さん、そして会場となった豊洲シビックセンターホールを運営する江東区豊洲文化センターの所長である矢吹智英さんに、それぞれの団体の活動内容および今回のチャリティコンサートに対する思いを伺いました。

さまざまな障がいについて
多くの人に知ってもらいたい

一般社団法人 江東ウィズ 理事
まつぼっくり子ども教室 所長
田中祐子さん

今から35年前の1983年、障がいのある子どもたちが地域社会に出るのは、まだまだ困難な時代でした。そんな中で発足したのが「まつぼっくり子ども教室」です。

江東ウィズの理事であり、まつぼっくり子ども教室の所長を務める田中祐子さんは、発足の理由を次のように話します。「1979年に養護学校(特別支援学校)の義務制が施行されて以降、障がいのある子どもたちも学校には通えるようになりました。けれども学校から帰ったあと、他の子どもたちのように外に遊びに行くことはできませんでした。遊べる場所や相手がいなかったのです。そうした子どもたちに学校と家庭だけでなく、もう1つの居場所をつくってあげることができないだろうか――。まつぼっくり子ども教室を立ち上げた背景には、そんな保護者の方の思いがあります」

その後、小学生を対象とした「さくらんぼ子ども教室」、知的障がいのある高校2・3年生と身体障がいのある中高校生を対象とする「第2まつぼっくり子ども教室」も発足。まつぼっくり子ども教室は、知的障がいのある中学生~高校1年生を対象としたデイサービス施設という役割分担が行われ、現在に至っています。

この3つの子ども教室の連携を深めるため、2006年には任意団体として「障害者の豊かな地域社会をつくる江東の会ウィズ(略称:江東ウィズ)」を設立。障がいのある人たちが地域の中で豊かに暮らすことを目的とし、より充実した事業を行う運営母体となりました。

2012年に一般社団法人となった江東ウィズは、障がいのある子どもがいる家庭のサポートや、各子ども教室の卒業生を対象とした「青年・成人期の余暇支援」などへと活動を広げています。

さらに、さまざまな機会を通じて啓発的な活動にも取り組んでいます。「支援に関わる、関わらないは別にして、障がいについて多くの人に知ってもらえるだけでも、社会的弱者が生きやすい街をつくることができます」と田中さんは話します。

毎年10月の第1日曜日に猿江恩賜公園で開催している「ふれあいまつり」は、江東ウィズの活動の中でも最大のイベントで、障がいのある子どもたちも元気に遊べるステージやゲームコーナー、バザー、模擬店などを催しています。

誰もが住みやすい地域づくりに向けて
江東ウィズと日本ユニシスグループが協力

「江東ウィズは、日本ユニシスグループ社会貢献クラブ“ユニハート”の寄付先として2008年度からお付き合いが始まり、ふれあいまつりには2009年度から社員ボランティアが継続して参加し、毎年1000~1500人の地域の皆さまと一緒に、ふれあいまつりを盛り上げてくれています」と田中さんは語ります。

江東ウィズと日本ユニシスグループの絆は年を追うごとに深まっており、日本ユニシスが主催する今回の川畠成道さんのチャリティコンサートに、江東ウィズも初めて参加することになりました。「紹介ブースの出展という形での参加でしたが、子どもたちの作品を写真で展示するほか、保護者がつくった手づくりマドレーヌやお掃除グッズなども販売し、来場者の皆さまと交流することができました」と田中さん。

社会的弱者にやさしい社会は、あらゆる人にとって住みやすい社会であるはず――。どんな障がいのある人もすこやかに、のびのびと暮らしていける地域づくりに向けて、江東ウィズは小さな団体ながらも大きな役割を担っています。

各種コンサートからバレエ、ダンス、ミュージカルまで
幅広い舞台芸術に利用

公益財団法人 江東区文化コミュニティ財団
江東区豊洲文化センター
豊洲シビックセンターホール 所長
矢吹 智英さん

今回の川畠成道さんチャリティコンサートの会場となったのは、「豊洲シビックセンターホール」です。前後の幅を広くとりゆったりとした客席300席を有し、どの席からも舞台が見やすく設計されているのが特長で、各種コンサートからバレエ、ダンス、ミュージカルまで幅広い舞台芸術に利用されています。

なかでもイタリア製のピアノ「ファツィオリ」を所有しているホールは、東京都内でも豊洲シビックセンターホールだけとのこと。豊洲文化センターの所長を務める矢吹智英さんは、「ぜひファツィオリを弾きたいという演奏者の方々から、多くの声をいただいています。そこで私たちも日ごろからピアノのコンディションの維持に努め、ホールの音響を熟知した調律師により、よい響きを保つようにしています」と語ります。

バリアフリーへの取り組みとして、多目的トイレや各施設に段差なく車いすで入ることができるスロープが用意されています。また、スマートフォンを使って各種窓口やホールへの誘導・案内を行う音声ナビゲーションシステムの社会実証実験が、豊洲文化センターでも行われる予定です。

そんな豊洲文化センターと日本ユニシスの結び付きは深く、地域住民の皆さまとのふれあいと交流を目的としたイベント「豊洲フェスタ」では、2005年から両者は手を携えてきました。

江東区文化コミュニティ財団と日本ユニシスの協業に関しても、2005年までさかのぼります。「江東区文化センター(東陽町)で主催していた江東区芸術提携団体のプロオーケストラ東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団と区内中学校が共演する『元気の出るコンサート』に、その当時から日本ユニシスに協賛をいただいていました。私も担当者として日本ユニシスにごあいさつに伺った縁があり、その後このコンサートは2010年まで続きました」と矢吹さんは話します。

こうした歴史を重ねて開催された、今回の川畠成道さんチャリティコンサート。「豊洲文化センターの窓口にチケットを受け取りにきた小学校5年生の女の子に話を聞いてみたところ、クラシックの演奏が好きで、以前にも川畠さんの演奏を聴いたことがあり、今回は自分自身で予約をとったとのこと。大人だけでなく地域の小学生までにも喜ばれ、楽しみの輪が広がっていることを感じました」と矢吹さんは話します。

また、コンサート当日は来場者へのアンケートも行われ、「アイマスクをして聴いたら、とても集中でき、音の幅が広く、深く感じて、心の中に入ってきました。残りは目を閉じて聴きました」「盲導犬がとても賢く、かわいくて、表情が穏やかで、最初はちょっと怖いと思っていた印象が変わりました。コンサートは演目も演奏も素晴らしかった。盲導犬も気持ちよさそうに聴いていましたね」といったコメントが寄せられました。

今後に向けて、豊洲文化センターが地域社会で担っていく役割はますます広がっていくことが期待されます。「地域における地縁的なつながりが希薄化する中で、地域の皆さまが豊かな生活を送るお手伝いをさせていただくことが、私ども財団職員の役割です」と矢吹さんは話し、豊洲フェスタや各種講座の開催、サークル活動の支援、ホールを活用したさまざまな舞台芸術の上演や文化芸術団体への協力など、コミュニティー活性化と文化向上を目指した活動を推進していくそうです。

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