CO₂削減量を可視化し、コストを収益に変える「Earth Performance Indicator®」の挑戦
環境貢献の“ビジュアル化”でフードロス削減BOX「ZERO」の企業導入を加速
- サステナブル対応が重視される中、多くの企業はCO2削減活動に取り組んでいる。だが、「投資効果が見えずに単にコスト化している」。そんな課題もあるのではないか――。BIPROGYの「EPI(Earth Performance Indicator)」は、企業や消費者のCO2削減のための行動をデータとして可視化し、その課題を解決する新たなソリューションだ。
- 可視化されたCO2削減量データは、仮想空間上で「樹木が環境貢献に応じて成長する」仕掛けでビジュアル化。環境貢献度を直感的に理解でき、行動変容を促す。
- 2024年2月には、フードロス削減BOX「ZERO」と連携。環境貢献度の見える化に課題を抱えていたZEROの導入価値を高め、企業や公共機関等への設置が拡大している。
環境対策を事業成長につなげる新サービス「EPI」
多くの企業がサステナブル対応を強化する中、BIPROGYはそうした企業を支援するためのソリューション拡充に力を入れている。その1つが、「EPI(Earth Performance Indicator)」だ。EPIは、「コスト」と見られがちだった環境対策の価値を、新たなビジネス創出のきっかけとしてつなぐB2B2Cのサービスとして誕生した。
EPIは、バリューチェーン(材料調達、生産、流通、販売、消費)の中で、特に「販売から消費(購入)」に焦点を当てていることに大きな特徴がある。例えば、企業の販売などに係るCO2排出量も含めて消費者(購入者)のCO2削減に貢献する活動データ(例:プラスチックトレイ回収に協力)をCO2削減量として算出する。これらの算出データを合算して可視化することで、EPIを導入する企業にとっては、自社製品の販売促進と環境貢献を両立できる仕掛けとして活用できる。
また、もう1つの特徴に環境貢献度の「見える化」がある。EPIを活用することで、従業員だけでなく消費者に対しても具体的な環境貢献度が伝達可能になる。例えば、「他に比べてCO2排出量が〇グラム抑制される」という商品を販売しても、消費者側の実感が湧かず購買促進にならないケースもある。そこでEPIでは、個人の環境貢献度を仮想空間内の「樹木」としてビジュアル化。エコフレンドリー商品の購入も含め、一人ひとりの行動に応じたCO2削減量に対応して樹木は育つ。
日々の小さな行動の積み重ねが「樹木の成長」として可視化されることで環境貢献の実感が得られ、継続的な行動に自然とつながる仕掛けだ。
EPIのサービス画面(例)
また、樹木以外にも多様な形でユーザーニーズに応じて環境価値を表示することも可能だという。
EPIの環境価値表示の一例
可視化データを消費者の行動分析やマーケティングにも応用
EPIでは、「販売から消費(購入)」のバリューチェーンに特化することで、製品の販売促進やロイヤルカスタマー育成など、消費者(購入者)とのリレーション深耕も企図している。この観点から、企業向けに複層的なレポーティング提供も可能だという。
例えば、EPIに可視化・蓄積されたさまざまなデータを分析することで、消費者の行動変化を購買金額からだけではなく、CO2排出削減への貢献という観点も交えつつ、多角的に捉えられる。
サステナブル時代に対応した、こうしたEPIの仕掛けは、従来の商品企画やマーケティングにない、新たな視点や切り口を提供するものとなるはずだ。
EPIのビジネススキーム
環境貢献度をリアルに可視化
あなたの行動が地球を救う
Earth Performance Indicator®
フードロス削減BOX「ZERO」とEPIが生む相乗効果
2024年2月、BIPROGYはゼロエミッション社会の実現に向け、フードロス削減BOX「ZERO」(以下、ZERO)を展開するスタートアップ・ZERO(以下、ZERO社※)との業務資本提携を発表した。同社はフードロスやCO2排出量の削減を図る取り組みを続け、ZEROは24都道府県の企業や公共機関等に設置されている(2024年8月時点)。
※ ZERO株式会社は、企業を主な対象にフードロスとCO2排出量削減の両立を目指す「ZEROサービス」を提供。ZERO社の理念に共鳴しBIPROGYは資本出資を行っている。
「ZEROは企業や大学、自治体の建物内に加え、駅など多くの方が利用する場所にも置かれています。ZEROに置く食品の価格は自由に設定でき、多くのケースで福利厚生の観点から従業員に無料提供されています」とZERO社代表取締役の沖杉大地氏は説明する。
ZEROはロック機能付きの冷蔵庫で、いわば無人販売機のようなものだ。登録ユーザーは、スマホを使ってロック解除して食品を入手する。この一連の流れの中で、自分の行動がどれだけのフードロスとCO2排出量の削減に寄与したかを知ることが可能だ。さらに設置企業であれば、従業員の行動がもたらした環境価値をトータルで把握できるという。
EPIとの連携について沖杉氏は「EPIのコンセプト動画を見せてもらったとき、『まさに、僕たちがやりたかったこと』と伝えました。ZEROがどの程度CO2排出量削減に寄与するか、これまでも私たちなりに数値化を試みていました。しかし、導入企業への説明の際に相手の反応を見ると、『数値だけでは訴求力が十分ではない』と感じる場面が多々あり、もどかしく感じていました」と振り返り、こう続ける。
「EPIのように環境への貢献度を直感的に理解できる仕掛けがあれば、一人ひとりの行動変容にもつながりやすい。これは私たちにとっても大きなメリットで、とても魅力を感じました。ZEROを設置する企業側も設置意図が関係者に周知しやすくなり、取り組みに弾みがつきます。確かな手応えも生まれつつあり、今後の展開に向けて、ZEROとEPIのさらなる相乗効果に期待しています」
2024年8月には、BIPROGY本社内にもZEROが設置された。社内の反響は上々で、すでに多くの従業員がZEROの食品を手にしている。6月に開催された「BIPROGY FORUM2024」では実機を展示し、多くの来場者の注目を集めたという。BIPROGYでカーボンニュートラルの観点から新規事業企画を行い、EPIやZEROのセールスも担う今井幹太はこう語る。
「食品メーカーをはじめ小売業や流通業などさまざまな企業の方々がZEROとEPIの取り組みに関心を持ってくださいました。例えば、『フードロスの削減を通じて従業員満足度の向上だけでなくSDGsも同時に達成でき、社外アピールにもつながる』などの声をいただきました。こうした出会いを通じ、新しいビジネス機会も生まれています」と強調する。その1つが、道の駅での展開だ。
沖杉氏は「これまではメーカー発の食品提供をしていたZEROにとって、道の駅での取り組みは新たな一歩となりました。道の駅は深夜営業をしていませんが、駐車場やトイレは24時間利用可能です。エリアとしては常時オープン状態なので、売れ残った食品などをZEROで提供し、具体的な効果をEPIで可視化すれば、フードロス削減だけでなく地域のCO2削減にも貢献できます」と説明する(道の駅への展開は2024年10月、茨城県の「道の駅さかい」でスタート)。
そして、EPIはマーケティング面でも力を発揮する。同サービスが企図するB2B2Cの「C」には従業員だけでなく、エンドユーザー(消費者)も含まれるからだ。そのポイントについて、今井と同様の新規事業開発を担うBIPROGYの新井康治はこう説明する。
「例えば、ポイントプログラムの運営事業者が当該システムとEPIを連携させれば、EPI上の樹木の成長に応じてポイントを付与する施策も可能です。店舗等にとっては、EPI連携は販促にもなりますので、環境投資を具体的な収益につなげることが可能となります。また、近年は環境貢献意欲の高い消費者が着実に増えています。こうした中、EPIの活用を通じて、企業は長期的な売上増だけでなく、ロイヤルカスタマーの創出といったマーケティングの高度化なども実現できるでしょう」
脱炭素化への対応は、企業にとって喫緊の課題となっている。環境対策を“やむを得ず”実行するものではなく、“事業成長のための投資”と捉える発想の転換が今求められている。環境価値の追求とビジネス価値の実現を両立すべく、BIPROGYはEPIを展開し今後も進化を続けていく。
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