日本ユニシス株式会社は、2017年8月3日に東京都江東区の豊洲シビックセンターホールで川畠成道さんのチャリティコンサートを開催しました。珠玉の演奏をはじめさまざまな体験プログラムを通じて、人と人とのふれあいの輪が広がりました。
遊び心あふれる体験型の名曲コンサート
8歳で視覚に障がいを負った川畠成道さんは、10歳よりほとんど耳からの情報のみでヴァイオリンの勉強を重ね、1997年英国王立音楽院大学院を首席で卒業後、英国と日本を拠点にソリストとして精力的な活動を展開しています。デビュー当初より、音楽活動の傍ら、積極的に目の不自由な方や小児がんと闘う子どもたちを支援するチャリティコンサートなどを行っています。
日本ユニシスグループは、川畠成道さんの医療・福祉・教育分野における活動に共感し、1998年のデビュー時から支援を続けるとともに、川畠さんとさまざまな社会貢献活動に取り組んでいます。
今回のチャリティコンサートは、「地域住民の方々と 共に感じ、共に考えるイベント」として開催しました。
コンサート会場では、目の不自由な方の社会参加を支援する団体への寄付を呼びかけ、お寄せいただいた寄付金は公益財団法人 日本盲導犬協会および特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワークに全額寄付をしました。
コンサートで川畠さんは、ブラームス「ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調Op.100」、サラサーテ「アンダルシアのロマンスOp.22-1」、シューベルト「4つの即興曲より第3番 変ト長調 Op.90-3」など名曲の数々を熱演。ホールは大きな感動に包まれました。
共に感じ、共に考える体験の1つとして、コンサートの途中で全員がアイマスクを装着し、演奏を鑑賞するという「視覚にたよらない美的体験」を実施しました。あえて目をふさぐことで全身の感覚が研ぎ澄まされ、それまで気づいていなかった微小な音の"粒(つぶ)"まで聞こえてくることを皆で体験することができました。
盲導犬体験教室と画面読み上げソフト体験
盲導犬の疑似訓練が披露された盲導犬啓発教室
同じステージ上では日本盲導犬協会による盲導犬啓発教室も行われ、目の不自由な方に盲導犬がどのように寄り添っているのかを学びました。盲導犬とともに登壇したトレーナーがその模擬訓練の様子を披露し、歩行中のさまざまな危険から、盲導犬がどうやってパートナーと安全な歩行をしているのか実演しました。
啓発教室の中では、ハーネスをつけた盲導犬は「仕事中」であるため、見かけても話しかけたり、目をじっと見つめたり、触ったり、食べ物を与えたり、盲導犬の気を引く行為は控えてほしいとの説明もありました。
一方、会場ロビーでは盲導犬PR犬との体験歩行が行われたほか、視覚障害者パソコンアシストネットワークによりパソコンやタブレットからの入出力を画面読み上げソフトなどで支援するICTの仕組みが実演されました。目が不自由な方の読み書きの手段として点字がありますが、実際には点字を使える方は10%程度にすぎず、習得も容易ではありません。これに対して画面読み上げソフトを用いた入出力であれば少し慣れれば比較的容易に扱うことができます。インターネットの検索も補助者に気兼ねすることなく自分で行えるなど、障がいの有無を問わず、あらゆる人の世界や行動を大きく広げていくユニバーサルデザインの可能性をアピールしました。
終演後のふれあいコーナーには演奏を終えたばかりの川畠さんも駆けつけ、気軽にサインや質問にも応じるなど、時間いっぱい交流を楽しみました。
プロフィール
川畠成道(かわばた・なりみち)
1971年、東京生まれ。視覚障がいを負った幼少期にヴァイオリンと出会い、音楽の勉強を始める。桐朋学園大学卒業後、英国王立音楽院へ留学。97年、同院を同院史上2人目となるスペシャル・アーティスト・ステイタスの称号を授与され首席卒業。98年にデビュー。その後、英国と日本を拠点にソリストとして精力的な活動を展開している。2017年、文部科学省の「スペシャルサポート大使」に就任。
◎川畠成道オフィシャルサイト
http://www.kawabatanarimichi.jp/