金融サービス変革を加速する先進的ソリューションを提案

「FIT2018」で披露された日本ユニシスグループの次世代金融ソリューション

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2018年10月25日と26日の2日間にわたり、日本金融通信社が主催する国内最大級の金融ITフェア「FIT2018(金融国際情報技術展)」が東京国際フォーラムで開催された。今話題のFintechの台頭など金融ビジネス全体が大きく変わろうとしている中、会場には真剣なまなざしで出展社の担当に質問する来場者の姿が至る所で見受けられた。多くの来場者の関心を集めた日本ユニシスグループの展示ブースおよびセミナーの模様を紹介しよう。

店舗軽量化ソリューションを渉外活動に展開

未来型店舗で新しい価値を提供する「タブレット端末を活用した店舗軽量化ソリューション」

メイン会場に設けられた日本ユニシスブースでは、今回4つのソリューションが展示され、いずれも説明待ちの行列ができるほどの活況を呈した。その1つが「タブレット端末を活用した店舗軽量化ソリューション」だ。ブースでは、これまで金融機関の店舗内に限定して使用してきたタブレット端末を、店舗外でも利用可能にするソリューションのデモンストレーションが披露された。「金融機関の営業担当者さまが、自宅など店舗外でお客さまから相談を受ける際、タブレット端末を活用した本ソリューションを利用いただくことで、より多くのサービスをお待たせすることなく提供できるようになります」と、日本ユニシス株式会社 金融ソリューション本部 ソリューション二部の幕瑶子は説明する。

例えば、訪問先のお客さまから専門スタッフの説明を求められたときには、その場でテレビ会議システムを使って専門スタッフを呼び出し、お客さまと直接会話しながら対応することができる。また、本人確認書類などの提出が必要となる手続きも、タブレット端末のカメラで撮影した書類の画像を訪問先から本部へ送ることでスムーズに進めることが可能だ。しかも、オンライン連携で画像を照会するため、書類の間違いや手戻りを防ぎ、申し込み事務の負担軽減も図る。

総合信託業務管理システム『TrustPORT』

当然ながらこのタブレット端末は店舗内で活用することも可能だ。「実店舗に足を運ぶお客さまが減少傾向にある中、タブレット端末を活用した柔軟な窓口サービスを実現することで、お客さまへの対応力強化と満足度向上を図ることができます。店舗の軽量化、無人化にもつながるということで、来場者の皆さまにも好評です。将来的に需要はあると感じました」と幕は語る。

その隣では、総合信託業務管理システム「TrustPORT®」が展示された。TrustPORTは信託サービスの提供を支援する総合的なソリューションだが、今回は相続関連業務や個人信託向けに絞った提案が行われた。

ブースで説明にあたっていた日本ユニシス株式会社 ファイナンシャル第一事業部 営業三部の熊田彩菜は、「これまでExcelで管理されるなど属人的だった個人信託業務に関する情報を一元管理し、迅速かつ正確に業務を遂行できる点が、お客さまに高くご評価いただいています」と語る。

システム自体は時代の変化に合わせ、機能を追加しながら進化してきた。パッケージだけでなくSaaSでも提供されているため、気軽に導入できるところもメリットとして挙げられるだろう。RPA(ロボットによる業務自動化:Robotics Process Automation)と手入力のスピードの違いを来場者の方に体感していただくデモンストレーションも当日行われた。

多様なシステムとの連携で金融の機能を社会に広げる

給与即時受取を実現するFintechサービス
「ドレミング」

日本ユニシスブースでは、パートナー企業のソリューション連携も披露された。展示されたソリューションは、スマートフォンを使って給与即時受取を実現するFintechサービス「ドレミング」である。ドレミングは、貧困などのため銀行口座を持てず、正規の金融サービスを受けられない海外の人のために、ドレミング社が開発したサービスだ。スマートフォンで賃金を受け取った労働者は、その上限額まで買い物ができるといった機能を提供する。

このソリューションはすでにベトナムで提供されているが、日本では労働基準法により賃金の支払いには利用できない。今後は厚生労働省が規制を見直す方針を固めたことから、2019年の給与デジタル化解禁後は、スマートフォンで賃金を受け取り買い物ができるようになる。

ドレミング株式会社 営業本部の藤野正太郎氏は「日本ユニシスは金融業界の仕組みに精通していて、深い見識を持っています。また、Fintechの利便性向上に欠かせないオープンAPI公開基盤『Resonatex®(レゾナテックス)』といったソリューションも提供しています。今後の連携により大きな成果が得られると期待しています」と語った。

オープンAPI公開基盤サービス「Resonatex」

隣のブースでは藤野氏が挙げたResonatexも展示されていた。Resonatexは、クラウド上でAPIを公開するとともに、認証の一元化を実現するオープンプラットフォームだ。APIを公開したい企業とAPIを利用したい企業を結び付け、APIエコノミーを促進させる。

対象となる業界は特定しないが、金融機関のシステムのAPI化に対する関心は高いだけに、Resonatexへの注目度も高い。日本ユニシス株式会社 ネオバンク戦略本部 企画推進部の齊藤康太は「2~3年後を見据えて、APIの在り方について検討されている金融機関が多く、Fintech企業以外とのAPI接続も視野に入れたさまざまな活用が検討されています。当社も今年設立した新事業創出プラットフォーム『Financial Foresight Lab®』での活動を通じて、金融機関の異業種協働を推進し、革新的な金融サービスの創出を支援していきたいと考えています」と語る。

クラウド型Webセキュリティーソリューション「Zscaler」のデモが披露されたユニアデックスのブース

このほかFIT2018では、日本ユニシスグループのユニアデックスもブースを出展した。同社が紹介していたのは、クラウド型Webセキュリティーソリューション「Zscaler®(ゼットスケーラー)」だ。

ユニアデックス株式会社 エンタープライズ第二営業統括部 営業一部の成瀬朋宏は、「モバイルデバイスからのインターネット接続が増加傾向にある中、セキュリティー処理が通信を逼迫してしまい、業務に支障をきたす恐れがあります。ZscalerのWebセキュリティーサービスを利用すれば、一元管理可能なセキュリティー基盤を効率的に構築できるほか、インターネット接続環境の安定化も図ることができます」と話す。

ユーザーはクラウド上のZscalerへアクセスするだけでインターネットに接続できる。セキュリティー対策はZscaler側で包括的に実行されるため、ユーザーの手を煩わすこともない。社外でモバイルデバイスを利用するユーザーに対しても遅延なく高度なセキュリティー環境を提供できるソリューションとして、その有用性を来場者にアピールした。

API公開を成功に導く解決策を提示

日本ユニシス株式会社
ネオバンク戦略本部 企画推進部
上田潤

FIT2018のセミナー会場では、日本ユニシスによるセッションも開催された。テーマは「金融機関のビジネスモデル変革に向けたオープンAPI公開と接続事例」だ。日本ユニシス株式会社 ネオバンク戦略本部 企画推進部の上田潤が登壇し、すでに7つの金融機関で採用されているResonatexをベースにAPI接続のための具体的なアプローチを紹介した。

講演の冒頭で上田は「API公開においては、法的・制度的に未整備なものが多いこと、また技術的にもネットワーク、UI(ユーザーインタフェース)などあらゆる部分において、いかなる設計・方法でも採用できるため、考えがまとまらず“迷子”になりがちです。そうならないためにもまず、なぜAPI接続を公開するのか、その意義や意味は何なのかを、事前にしっかり詰めておく必要があります」と語った。

ではAPIを公開する意味とは何か。「世の中のプロセスに自社のプロセスや機能を織り込んで価値を高めること」だと上田は語る。例えば、グーグルが提供する「Google マップ」はさまざまなアプリケーションに組み込まれ、今や目的地を探す際のプロセスの一部になっている。それがGoogle マップの価値を高めることにもつながっているという。

「プロセスに組み込まれることのメリットはたくさんあります。自社ではリーチできなかったところにリーチできたり、スケールするビジネスモデルに便乗できたり、自社のアセットに他社が新しい価値を見つけてくれたりします」(上田)

とはいえ、実際にAPI化を図ろうとするとさまざまな課題に直面する。しかし上田は「電文仕様などITで解決できるものはそれほど大きな課題ではありません。プロジェクトの成否の鍵は、分かりやすく使いやすいUIの構築にあります」と指摘する。

特にデータ受け渡しの際の「認証手続きの煩雑さ」は大きな障壁となる。入力ミスが発生した際にどこまで戻って作業し直すのかといった問題も顕在化する。万一個人情報が流出してしまうと大きな被害を引き起こしかねないだけに、慎重になるのは当然だ。こうした課題の解決をサポートするのが、サービス利用の認証を一元統合化できるResonatexである。

上田はResonatexを利用する企業のインターネットサービスを共通のIDで利用可能とする「AduME®(アヅミ)アカウント」サービスを紹介し、「金融機関と他業種のサービスを結び付けるサービスを提供することで、業界横断型のAPIエコノミーを広げ、新しい金融サービスの創出やUI向上を促進し、金融機能の社会インフラ化をサポートしてまいります」と講演を締めくくった。

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