先見性と洞察力を生かして様々な社会課題と向き合い、顧客企業やパートナー、エンドユーザーなど複数のステークホルダーとの連携で未来ビジョンを共有し、多岐にわたるサービスをつなぐことで課題解決プラスαの価値を持った革新的なソリューションやインフラの創出を目指す――。これが日本ユニシスの指向するビジネスエコシステムのコンセプトだ。
予測困難な変化に対応する先見性と洞察力を磨く
日本ユニシス
取締役常務執行役員 CMO
齊藤 昇
デジタル化の波により、私たちはかつてない変革の時を迎えている。クラウド、ビッグデータ、IoT、AI/ロボティクスといったテクノロジーの進化は、ときに業界の垣根の崩壊や伝統的なビジネスモデルの淘汰など、ビジネスに破壊的イノベーションをもたらす。一方で生活者の間にも、地球環境と社会課題への問題意識の高まり、ライフスタイルの多様化、オープンマインドの高まりといった変化が起こっている。
このように既存の価値観や固定観念が覆されていく中で、それぞれの企業にも変革が求められている。従来どおりのやり方を続けていたのでは社会のニーズに応えることができず、存在意義さえ失いかねない。
この予測困難な変化の時代に対応するため日本ユニシスが掲げているのが、"Foresight in sight"というコーポレートステートメントである。取締役常務執行役員CMOの齊藤昇は、そのコンセプトを次のように示す。
「先見性でいち早くキャッチしたお客様や社会の課題を、経験や常識にとらわれない洞察力で深く理解し、知恵や発想、ICTを組み合わせて、お客様に最もふさわしい形のソリューションやサービス、そして業界を越えたビジネスエコシステムをつくり出します」
顧客企業やパートナー、利用者、さらには多様な事業者が提供するソリューションを複合的かつ有機的につないで社会課題を解決し、真に価値ある革新的なサービスやインフラを創出するというわけだ。
ではなぜ、日本ユニシスにそのようなことができるのだろうか。齊藤が挙げるのが、「様々な業界の顧客とのパートナーシップ」「完遂するシステム実装力」「ベンダーフリー&ワンストップのサポート力」「新しいサービスをデザインして実現する力」といった日本ユニシスグループのクリティカルコア(強み)である。
イノベーションを支える企業風土/人財を育成
ビジネスエコシステムのカタリスト(触媒)となるべく、日本ユニシス自身も積極的な改革に取り組んでいる。イノベーションを目指す上で特に欠かせないのが企業風土と人財の育成で、「Innovative leadership program(人財改革)」と「Work style innovation(働き方改革)」を2本柱とするダイバーシティ戦略を推進中だ。
まず人財改革については、「自ら夢を描いて新ビジネスを実現するプリンシパル人財、変革をドライブするイノベーティブ人財、ステークホルダーやサービスをつなぎビジネスエコシステムをデザインするカタリスト人財を育成することを目標とし、一人ひとりの社員の成長を促しています」(齊藤)
一方の働き方改革に向けては、フリーアドレスやサテライトオフィスにより働き方の選択肢を増やすとともに、ダイバーシティに富んだ人財が自由な発想で能力を発揮できる環境の整備を進めている。公益財団法人日本生産性本部が主催する「第2回女性活躍パワーアップ大賞」において「優秀賞」を受賞したことも、その成果の1つと言えそうだ。
また、不確実性が高い変化の時代にスピード感をもって対応するためのオープンイノベーションの観点からは、「国内外の先端テクノロジーの発掘」と「国内外投資の強化」という2つの戦略を展開している。
この活動の中心拠点となっているのが、2006年7月に日本ユニシスの100%出資で開設された米国現地法人NSSC(NUL System Services Corporation)だ。「数多くの世界的ハイテク企業が集まるシリコンバレーにオフィスを構え、最新情報技術の収集と事業機会発掘に注力。オープンイノベーション推進、個別案件支援、調査、視察などをミッションとしています」(齊藤)
さらに国内においても、エコシステム・パートナーの株式会社リバネスが主催するアクセラレーション・プログラム「TECH PLANTER」に参画。「ディープテック、バイオテック、アグリテック、マリンテックの4分野で実施されるグランプリ(ビジネスプランコンテスト)の審査および後援スポンサーを務めるほか、同グランプリにノミネートしたベンチャー企業に対して協業検討を前提とした育成支援を行うなど、国内アーリーシーズの発掘活動に注力しています」(齊藤)
ビジネスエコシステムを実現するイノベーション創出シナリオ
上記のような日本ユニシスの取り組みは、すでに多方面で成果を上げ、ビジネスエコシステムの芽が続々と息吹いている。
日本郵便の倉庫と宅配サービスを活用し、各種サービス事業者に提供する収納サービスプラットフォームの第一弾となる「ネット宅配&クリーニング保管サービス」。業界の垣根を超えた異業種連携のもと、カード発行元企業各社、チャネルとなるコンビニや量販店各社、消費者をつないで価値を創出する「ギフトカードモール」の展開。電車乗り放題と観光スポット入場割引クーポン、買い物/飲食チケットなどを組み合わせたご当地PASSとしてアプリを提供し、魅力ある観光地域・まちづくりを実現する「熊本DMCインバウンドサービス」。さらに米Fellow Robots社が開発した自律移動型サービスロボット「NAVii」を活用し、ヤマダ電機や仙台パルコと共同で実施している実証実験など、ビジネスエコシステムへの展開が注目される事例は枚挙にいとまがない。
「新たに3つの戦略的グループ会社(Canal Payment Service、Canal Ventures、Canal Globe)を設立し、推進体制のさらなる強化を図りました。日本ユニシスグループは多くのステークホルダーの皆様と社会課題や未来に向けたビジョンを共有し、星と星とがつながりあって星座となって光輝くようなビジネスエコシステムを共にデザインしていきたいと考えています」と齋藤は訴求する。
暮らしのサポートから地域の防災・安心安全、インバウンド、次世代エネルギーまで、ビジネスエコシステムの舞台は限りなく広がっていく。