日本ユニシスは、本格的な海外事業進出に向けた100%子会社としてキャナルグローブを設立した。今後キャナルグローブは海外における戦略的パートナーシップを強化し、日本ユニシスグループの知財活用ならびに国内外の企業との連携を通じてプラットフォーム事業を展開していく。2017年8月23日に行われた記者発表会の要点をリポートする。
第1段階のターゲットは成長するASEAN市場
現在、日本ユニシスは中期経営計画の下、フォーサイト、サービスコンテキスト、ビジネスプラットフォーム、ICTプラットフォームの4層からなるアーキテクチャを定義し、これをベースとしたビジネスエコシステムの構築を推進している。日本ユニシスの100%出資によってこのたび設立された戦略子会社のキャナルグローブは、まさにこのビジネスエコシステムをグローバルに拡大し、世界の様々なエリアで足場を築いていく役割を担っている。
日本ユニシス
代表取締役社長
平岡昭良
第1段階のターゲットは成長する東南アジア諸国連合(ASEAN)のマーケットだ。2017年8月23日、日本ユニシスの豊洲本社で行われた記者発表会の冒頭で代表取締役社長の平岡昭良は、その狙いと意気込みを次のように説明した。
「ASEANにはすでに多くの日系企業が進出していますが、これまでは安価な労働力を求めた生産拠点の設立が中心でした。しかし、近年の経済成長とともにASEANにも中間所得層が急速に拡大し、マーケットとしての魅力が高まっています。そうした中で、これまでどおり日系企業のグローバル化を支援することはもちろん、ASEAN全体を新たなマーケットとして捉え、単なるソリューション提供にとどまらないエコシステムを中心にしたプラットフォーム事業を展開していきます」
基本戦略としてASEANのニーズを熟知した現地企業とパートナーシップを結び、決済やeコマースまで見据えた実ビジネスを推進していくという。
現地の有力企業と戦略的パートナーシップを確立
キャナルグローブ
代表取締役社長
倉田菜生子
キャナルグローブは、具体的にどのような事業のビジョンを描いているのだろうか。同社の代表取締役社長に就任した倉田菜生子は、「海外市場における現地企業との戦略的パートナーシップ」「現地フォーサイトにもとづくビジネスエコシステムの中核となるプラットフォーム事業」「日系企業に向けた事業領域の拡大」「クロスボーダーエコシステムプラットフォーム(デジタルパイプ)への進化・深化」の4つのミッションを提示。そして、「日本市場と海外市場をつなぐゲートウェイとなるプラットフォーム事業をキャナルグローブの柱として育てていきたいと考えています。また、このサービスモデルを特定エリアに限らず、第2、第3の国や地域に拡大していきます」と語った。
その意味でも最初のターゲットに据えるASEANマーケットで成功をつかめるかどうかは、日本ユニシスグループ全体のグローバル戦略そのものの将来を左右する、非常に重要な命運を握っていることになる。
そうした中、キャナルグローブの設立とともに発表したのが、インドネシアに本社を構えるPT. INDIVARA SEJAHTERA SUKSES MAKMUR(以下、Indivara)との提携だ。Indivaraグループはジョイントベンチャーでプラットフォーム事業を展開するASEANの有力企業で、金融、流通・小売、メディア・通信、旅行・交通など幅広い領域でシリューションを提供している。特に高いシェアを有し、強みを発揮しているのが、ウェルスマネジメントやオンラインバンキング、ペイメントなどのサービスだ。
このIndivaraが中間持株会社として新設したPT. INDIVARA SEJAHTERA MANDIRIグループ(以下、ISeMaグループ)に、今回キャナルグローブが資本参加するに至ったのである。現在、ISeMaグループは東南アジア4カ国にITコンサルティングやソリューション適用、システム開発、技術サポートなどを担う8社の傘下企業を有し、ビジネスを展開している。「ISeMaグループとキャナルグローブは、ASEANにおけるコンサルティング、ソリューション、プラットフォームといった領域で協業。これまで日本ユニシスグループが培ってきた多様な知的財産の現地導入やリエンジニアリングを共同で推進していきます」と倉田は語った。
グローバルな社会の変化をいち早くキャッチアップし、業界や業態、さらには国境を越えて様々な企業が連携するビジネスエコシステムを構築する。その中核を担う取り組みがまさに今、キャナルグローブの下でスタートを切った。
キャナルグローブ株式会社
東京都江東区豊洲1-1-1(日本ユニシス本社ビル内)
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