地域で共創する生活者中心のスマートタウンづくり

ノスタルジーとテクノロジーが織り成す安心・安全な共感型社会に向けて

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今、私たちは環境問題の深刻化をはじめとして少子高齢化や労働力不足など多種多様な社会的課題に直面している。これらの課題に対して、それぞれのやり方で向き合おうとしている地域がすでに国内に存在している。日本ユニシスグループの掲げる4つの注力領域の中でも、「スマートタウン」と「アセットガーディアン」はその取り組みに密着して社会課題の解決を目指している。これらの領域を統括する2人に、フリーキャスターの伊藤聡子氏が聞いた。

健やか・快適・賑やかに、
環境に配慮した安心・安全な街づくり

私たちは数えきれないほどの課題に囲まれている。例えば、環境問題の深刻化はもちろん、少子高齢化や労働力不足、都市への人口集中に伴う地方の過疎化などだ。ドライバー不足や乗客減少のために公共交通機関の維持が難しくなっている地域もある。道路や橋など、社会インフラの老朽化も心配されている。

日本ユニシス株式会社
執行役員
スマートタウン戦略本部長
永島直史

「日本ユニシスグループが注目しているのは、都市一極集中、インフラ老朽化、地球環境問題、超高齢社会という4つの社会課題です。その解決のためのアプローチが『スマートタウン』。課題を生活者視点で捉え、人と人、人と街をつなぎ、未来に向け魅力的な街をつくるという『志』で活動を続けています。課題の解決にはテクノロジー適用が不可欠です。しかし、そこには常に生活者中心の観点があり、“未来に向け皆でこの街をよくしていこう”という共感の醸成が、魅力ある・永続的な街づくりには大切だと思っています」と語るのは、スマートタウン戦略本部長の永島直史である。

例えば、熊本県合志市(こうしし)では、同市と熊本大学、全国でフィットネスクラブを運営するルネサンスとの協業が動き始めている。住民の健康寿命を延伸すると共に、地域経済の活性化が目指す方向だ。

「健康寿命を延ばして元気で健やかに暮らせる街づくりをしたい。そんな合志市の思いに対し、我々のアプローチに共感いただいたルネサンスが地域密着型のフィットネスクラブを開設、そこで取得される健康データを熊本大学が分析し、健康増進施策などに役立てます。私たちはここで取得したデータを利活用し、他のサービス事業者との連携にて、地域生活者向けに新たなサービスを共創することを目指しています」

また、移動に優しい地域づくりを目指し、滋賀県大津市と京阪バスと一緒に、自動運転+MaaSでの新しいモビリティサービスの実証実験に着手している。デジタル交通パス・お得で楽しめるデジタルクーポンにて公共交通での移動を促進、結果として、危険運転、運転者不足の課題解決を図り、併せて地域経済の活性化を狙うという取り組みだ。

フリーキャスター
事業創造大学院大学 客員教授
伊藤聡子氏

「不安なのは高齢者のスマホのリテラシーです。使いこなせないということはありませんか」という伊藤氏の問いに対し、永島は「例えば、現役時代に培ったITリテラシーを持った方が高齢者の方をサポートすることで、社会を支える側にまわるという、まさにジェロントロジー*による解決が考えられると思います」と回答した。

日本ユニシスグループは、クリーンで持続可能な社会の実現に向けた活動も活発化させている。電力消費量の把握および節電・省エネをサポートするエネルギーマネジメントシステム「Enability」、EV車の充電スタンドを中核とするICTプラットフォーム「smart oasis」、北九州市城野地区(ゼロ・カーボン先進街区形成事業)におけるエネルギーマネジメントシステムの提供など、環境に優しい街づくりに向けたビジネスは着実に成長しつつある。

ビル設備、社会インフラの維持管理
作業を効率化して安心・安全を実現する

ビル設備や社会インフラ(公共設備)のメンテナンスも、安心・安全、快適な社会づくりに向けた取り組みの柱の1つである。

日本ユニシス株式会社
執行役員
新事業創出部長
森口秀樹

「ビルや設備などの現場で行われるメンテナンスは社会にとって不可欠ですが、負荷の大きな仕事だと思います。しかも、最近は人手不足。作業員の確保も難しくなっているでしょう」と、伊藤氏は指摘する。そんな課題を解決するサービスの1つが、日本ユニシスの「まるっと点検」だ。新事業創出部長の森口秀樹は次のように語る。

「当社はメンテナンス業務を効率化する一連のサービスとして、デジタル技術を活用した『まるっと点検』を開発しました。設備側に各種センサーを取り付け、温度や振動などの状態を常にモニタリングします。点検作業者はスマートグラスを使い、ハンズフリーで効率的に作業することができます。また、従来は会社に戻って報告業務を行うのが普通でしたが、作業者は通信機能を持つタブレットを用いて現場からの即時レポーティングが可能になります」

先行的な導入事例において、「まるっと点検」は大きな効果を実現している。モニタリングの仕組みにより、定期点検回数は年4回から年1回程度に減らすことができた。また、即時レポーティングの導入により、月100時間かかっていた点検結果の確認・承認作業が20時間ほどになり、5分の1に短縮できたという。

全国に70万以上あるといわれる橋梁の点検、診断の効率化も切実な課題だ。森口はこう説明する。

「法改正により、橋梁については5年に1度の点検・診断が義務づけられました。1つ1つの現場で、足場を組んで点検するには相当の時間とコストを要します。そこで、当社はこの分野で実績のある日本海コンサルタントと協力して、コンクリート部材の健全性と劣化要因を画像診断するAIのエンジンを開発しました。実証実験の結果、画像データだけでは十分な精度が得られなかったので、架設年度や部材情報といった諸元データを組み合わせることで、高精度での判定が可能になりました」

地域の助け合いを支える仕組みと
旅行者のためのワンストップサービス

地域課題解決に向けた活動において、日本ユニシスは「Air TasukeAI(AirT)」という地域に暮らす人々が、地域未来の為に、「助け合い」「協力し合い」「認め合い」(3つの合い:AI)ながら暮らせる世界を創るというコンセプトを打ち出している。

AirTコンセプトに基づく活動には、地域との共創と企業との共創がある。「地域との共創として長野県、長野県立大学との共創事業があります。中核的な役割を担うのが、ソーシャルイノベーションの推進により地域課題を解決していく『地域共創ラボ』です。当社をはじめ、複数企業からこの共創ラボへの参画について共感を頂いており、今後もこのラボ活動を積極的に推進することで、長野県における地域課題解決&地域活性化に貢献していきます」と話し、永島はこう続ける。

「企業との共創として、交通事業者と共に移動に優しく、健やかに暮らせる街づくりを目指しています。例えば、バス利用にて地域商店で利用できるお得なデジタルクーポンを配布、かつ、バス停まで歩いた歩数を健康ポイントとして換算し、さらなるお得なクーポンが貰えるという仕掛けです。余ったクーポンは友人にプレゼントできます。地域の課題解決と地域活性化の両方を実現する仕組みを実現していきたいと考えています」

このような取り組みに共感する地域やサービス事業者との連携がさらに進むことで、永島の目指す世界に近づいていく。もちろん、長野県や熊本県だけでなく、他の地域にも同じ仕組みを展開することができる。

また、近年の訪日外国人観光客の増加を背景に、インバウンド旅行者への対応も地域課題の1つとなっている。日本ユニシスの「FESTRAVEL」は、旅行者の「旅マエ→旅ナカ→旅アト」をフルサポートするサービスである。「せっかく日本を訪れても、言語の壁に苦労したり、空き時間を有効に使えなかったりして、十分に満足できていない旅行者はまだまだ多いのではないかと思っています。そこで私たちはもっと日本の旅を楽しんでもらいたいという思い、FESTRAVELを開発しました」と永島は経緯を説明する。

旅行者は、海外のオンライン・トラベル・エージェントや地域の商材提供者、そしてイベント会社と連携されたこのサービスを利用することで、旅マエでは、本人の使い慣れたアプリやサイトから地域特有のこだわり商材やイベント提案を受けることができる。お土産の事前購入も可能だ。そして、旅ナカではスムーズな移動がサポートされると共に、近隣のおすすめスポットやイベントなどの提案を受けることができ、空き時間の有効活用や地域間の広域周遊・送客も促進される。そして、旅アトでは楽しかった体験をSNSなどで共有することが可能となっている。

このワンストップサービスには、行動・購買履歴を分析し、さらに個人の趣味・趣向にあった旅の提案を行い、リピーターを増やしていく仕組みも備えている。

この先もデジタル社会は進展し、テクロノジーはさらに高度化していく。大切なのは人と人とのつながりと3つの合い(AI)。自分の住む地域を子孫のためによくしていこう、そのためには自分も貢献しようという共感・一体感の醸成(ノスタルジー)とそれを支えるIoT(テクノロジー)の融合により、日本ユニシスグループは安心・安全に暮らせる共感型社会の創出に取り組んでいる。

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