園児に向き合う時間を増やしたい――ITで保育士の負担軽減に挑む東大沢保育園

保育園支援サービス「ChiReaff Space」、その有用性に迫る

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日本の未来を担う子供たちの保育の質の向上と、現場で子供たちと向き合う保育士の事務作業負荷を軽減するクラウドサービス「ChiReaff Space」の利用が広がっている。昨年4月に開園した埼玉県越谷市の東大沢保育園では、開園当初から「ChiReaff Space」を活用して大きな成果を上げてきた。同園での導入の背景、クラウドサービスを使うメリットと課題、これまでの成果、今後の展開などについて話を聞いた。

IT活用は必須と考え、当初から導入を検討

閑静な住宅街にある東大沢保育園を訪れると、まず目につくのが玄関脇にあるディスプレーだ。そこには同園の各クラスの名簿が表示され、タッチパネルとして利用することでタイムカード代わりに使われている。

タッチパネル
出欠状況は保護者が登降園の際にタッチパネルで登録する。
延長保育などに関するトラブルも防ぐことができる。

園児とともに登園してきた保護者はまずタッチパネルで登園時間を記録する。保育園側として、出欠状況が一目で分かるようになるとともに、その日の保育時間が自動的に記録され、保護者に請求される保育料に反映される。これもChiReaff Spaceが提供する機能の1つだ。

社会福祉法人 遍照会 東大沢保育園 主任 小島一憲氏

社会福祉法人 遍照会
東大沢保育園 主任
小島一憲氏

同園の主任としてChiReaff Spaceの活用を牽引する小島一憲氏は、「人手を介さずに正確な時間が記録され、そのデータを使って保育料が計算されるので、事務作業が軽減されるとともに、延長保育料などのトラブルもありません」とそのメリットを語る。

2016年4月に開園した東大沢保育園の定員数は90人。60年以上の歴史を持つ岡山県倉敷市にある遍照保育園の姉妹園で、「生きる力の基礎を培う」という保育目標の下、一人ひとりの個性を大切にした保育に取り組んでいる。

東大沢保育園へのChiReaff Space導入を決めたのは、同園立ち上げ当時に園長を務めた大原正裕氏だ。一般企業での勤務経験がある大原氏は「保育園事業でもITの導入は必須」と考えていた。当初は保護者への緊急連絡を行う一斉メールのシステムなどを検討していたが、総合的な保育支援サービスがあることを知り検討し始めたという。

大原氏がChiReaff Spaceを選ぶ決め手となったのは、ChiReaff Spaceがクラウドサービスであること。利用料金が分かりやすく明確で、導入後の機能改善なども期待できた。さらに園内でデータを共有できることも大きな魅力だった。

保育現場を支援する豊富な機能を提供

総合保育支援サービスであるChiReaff Spaceでは多くの機能が提供されている。トップページには保育士間の申し送り事項や変更情報など、保育士が1日の勤務を始める前に確認したいことがまとめられ、前述した出欠管理、子供たちの発達記録や園児カルテ、指導計画の策定支援、保育士のシフト管理などだ。保育士、管理側双方にとって必要な機能がそろっている。

「保育士の事務負担を軽減する上で役に立っているのが、指導計画の策定支援です。システム内の厚生労働省の保育所保育指針が素案として取り込まれているので、それをクラスの月例など実態に合わせて修正することで、指導計画書を短時間で作成できるようになりました」と小島氏は語る。

指導計画は月単位をベースに、週単位、そして1日単位のものを作成する必要があるが、ChiReaff Spaceが内容を各単位にブレークダウンしてくれるので、作成時間が大幅に短縮される。しかも提示される教育チェックリストを選択するだけで、自動的に指導計画書に反映されるので、日々取り組むことが明確になる。

社会福祉法人 遍照会 東大沢保育園 園長 中野幸子氏

社会福祉法人 遍照会
東大沢保育園
園長
中野幸子氏

また、発達記録機能を利用して全国の保育園の統計データを取り込めることも大きなメリットだ。現在、4万人の統計データが提供されている。小島氏は「全国の平均的なデータと、一人ひとりの発達状況を見ながら、的確な対策を立てることができます」とそのメリットを指摘する。

具体的に対策を考えるという場面でもChiReaff Spaceは役に立つ。それが「遊びのカード」だ。子供の発達状況に合わせて遊び方を選定できる。内容については臨床心理士が監修済みだ。ベテランと新人では引き出しの数が違うのは当然だが、ChiReaff Spaceがその差を埋めてくれる。

現園長である中野幸子氏は「保育業界は人材不足で、スキルもそれぞれ違います。でも論理的な裏付けまで示してくれるChiReaff Spaceを使えば、自分のしていることに達成感も持てますし、ベテランも新人も同じレベルで発言できて、誰もが仲間として仕事に取り組むことができます」とその意義を評価する。

クラウドだからこそ変化にも対応できる

ChiReaff Spaceにはクラウドサービスだからこその長所も大きいようだ。小島氏は「管理者にとってのメリットは、書類がクラウド上に集約されていることです。ノートであれば誰かが使っていれば見られませんが、保育士の書類をいつでも自分のPCから確認できます。どこにあるのか探す手間もありません」と話す。さらに園長に報告して印鑑をもらえば、そのまま役所に提出できるという利便性もある。

また、導入当初期待していた機能面での柔軟な対応も実現されている。「1日単位の指導計画が別画面になっていて使いづらいという話をしたら、同じ画面で行える案を提示してくれたり、クラスを年齢別の横割りだけでなく、縦割りのクラスにもリンクしてほしいという要望にも対応してくれました。こうした柔軟性はクラウドサービスのメリットです」と小島氏。

中野氏も「大変によくできたシステムだと思いますが、教育や医療の世界では、ある日突然考え方や基準が大きく変わることもあります。そのときにもクラウドサービスなら迅速に対応してくれるのではないでしょうか。保育士が新しいことを学ぶ時間の短縮にもつながるはずです」とクラウドサービスのメリットを指摘する。

「保育士たちの仕事を助け、子供と向き合う時間を増やしてくれるChiReaff Spaceがどこまで進化していくのか楽しみです」と中野氏は今後の期待を語る。次に同園が考えているのは、遍照会として経営している複数の保育園でデータを共有して、より特色のある保育につなげていくことだ。ChiReaff Spaceの進化とともに、今後の同園の取り組みも楽しみである。

社会福祉法人 遍照会 小島一憲氏 中野幸子氏

社会福祉法人遍照会 東大沢保育園

社会福祉法人遍照会 東大沢保育園

埼玉県越谷市東大沢4-31-1
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